
エコールミューレでは、毎日、お昼ご飯を自分たちで調理します。基本的に曜日によってメニューが決まっていて、毎週同じメニューを作ることで「自分で作れるようになる」ということを目標にしています。
1ヶ月に1種類、新メニューになります。ときどき、特別メニューとして、子どもたちが考えたものを食べることもあります。
学校の調理実習は、年に数回で、しかも、1回やったら終わりだったと思います。エコールは、毎日だし、同じメニューを何度も何度も作るので、試行錯誤ができ、改善もできます。
さて、水曜日のメニューは「おにぎり/卵焼き/味噌汁」です。調理工程としては、そんなに複雑ではありません。
ところが、どうしても、この日のみ、調理にものすごく時間がかかり、お昼ご飯にありつけるのがとても遅くなってしまうんです。何度やっても。
「課題解決」っていうと、環境問題とか社会問題とかSDGsとかがかっこいいんですけど、自分ごととして関心を持つようになるまで時間がかかったり、関心の差があったりします。
ですが、調理が遅いと、子どもたちはお腹ペッコペコです。
おまけに食べ始めが遅いということは、それだけ昼休憩も短くなるってことですから、遊ぶ時間も少なくなります。
そこで、工程表を作り、どこが問題なのか、どうしたら改善できるのか考えることにしました。
これが、めっちゃくちゃ面白い結果になりました。大人よりずっと面白い!
パスタをゆで、レトルトソースを温め、サラダを盛り付ける。これだけのことなんだけど、どう効率よくやるか、大人もなかなか難しく、しかも、「スッキリとして、見やすい工程表」にならないんですね〜。
「何かをしながら何かをする」ということがまったくない、一直線の工程表を見たときは、「うわぁ、これこれ!!そうだよね、ここからスタートだよね!」と思いました。
クラスが上がっていくと、少しずつ考えが複雑になっていくのが分かります。
↑少し年齢が上の子たちの工程表。「同時進行で何かをする」ということが入りました。ですが、まだまだ矢印がぐちゃぐちゃです。

↑最上級生の工程表です。同じく13分という最短時間をはじき出し、より一層、すっきりとした工程になっています。
レトルトソースのパスタを作る工程表作りを練習したのち、いよいよ、本当の課題「おにぎり/卵焼き/みそ汁」の工程表作りです。
リズム、メロディー、ハーモニー3つのクラスに分かれ、それぞれで工程表を作りました。そして、まずはリズムクラスの工程表(下の写真↓)に従って調理をしてみることになりました。
最初に、「工程表を確認するためには、この通りにやってみることが大事だから、今日は好き勝手なことをせずに、リズムに従うこと」という約束をしました。
小1や小2がたどたどしいながらも一生懸命、工程を説明し、指示する様子に、みんなメロメロ(笑)。
リズムクラスの工程表のポイントは、「おにぎり係」「みそしる係」「卵焼き係」「洗い物係」を作って、それぞれの係が全員分を作る、というところです。
おにぎり係を見ていると、1秒で壁にぶつかりました。
「そうだ、みんな、どの具がいいのかな」
そこから注文取りが始まりました。
しかもメモを取っていないので、あっという間に忘れ、何度も聞いたり、大きさの注文も聞いたはずが、目分量なので、「中」より「小」が大きかったり。
自分で自分の分を作るよりめちゃくちゃ時間がかかってます!どうなるのでしょう・・・。
そして、味噌汁にも問題が発生しました。
今まで2名分を小鍋で作っていたので、「大鍋で作ると、お湯が沸くまでにすごく時間がかかる」ということを知らなかったのです。野菜を煮る時間も足りなくて、にんじんがゴリゴリです(笑)。
どんどん時間は過ぎていき、ついに1時間を超えました。
ですが、誰もイライラしません。「やるぞ!!」というムードは最後までずっと続いていました。
結局、1時間20分かかりました。つまり、工程表に従った方が時間がかかってしまったのです。
時間を計っていたわたしは、みんながさぞガッカリすることだろう、やる気を無くしてしまわないか、と思いながら、午後のふりかえりを迎えました。
すると・・・、子どもたちが予想外の反応を見せたのです!
わたしは、「全然ダメだった」と落ち込んでいるだろうと思っていました。だから、ダメ出しばっかりにならないよう、あえて、「じゃあ、まずはよかったことをピンクの付箋に書きましょう」と言いました。
何を捻り出すのだろう、工程としては大失敗だったと思うけど・・・。おにぎりも、えらくでかいのに具がチョコンとしか入ってなかったりして、不満が出るだろうし・・・。
すると、「もうそろそろストップ!」と声をかけなくてはいけないほど、次から次へと「よかったこと」が溢れてたのです!
しかも、
「いつもより早くできた気がする!」
→えぇっ?!いつもの3倍かかってたのに?
「握ってもらったおにぎりが美味しかった」
→えぇっ?!形もバランスもぐちゃぐちゃだったのに??
って感じで、わたしが「失敗認定」していた部分が、子どもにとっては「成功」だったんです!!!
これには、おおいに反省しました・・・。
そうか、わたしは「工程表としてうまくいくか(30分内に効率よく仕上げる)」にばかり成功基準を設けていたけれど、子どもたちにとっては、
「初めて自分たちで計画をし、みんなで協力して最後までやり切った達成感」
だとか、
「人が自分のリクエストを聞いて握ってくれたおにぎり」
だとかに、満足感を得ていたんですね・・・。
ところで、この振り返りをしたあと、次に控えているメロディークラスが、ピューっと飛んで行って集まり、すごい勢いで、次週試す予定の自分たちの工程表を修正していました。
こうして、一つのクラスで実践してみたことで、これまで想像でしかなかった工程が、実際の作業として見えてきたのだと思います。そして、「自分たちの工程表で、なんとしても30分を切ろう!」という明確な目標ができたのだと思います。
写真は、次回、実践予定の工程表です。
予定では19分となっています。
実践第二弾は、小5が中心となって作った、メロディークラスの工程表でした。時間は40分強だったかな。かなり短縮されたものの、調理現場は、まだまだドタバタとしていました。
が、このクラスは大きな発見をしました!!
工程表と実際が違ったことを黄緑色の付箋で書き込んでみたところ、「名前のない工程」が、実際に取り掛かる前に山のようにあることが分かったのです。下の写真の、黄緑の付箋が「工程表と実際が違っていた部分」です。

「名前のない工程」とは、たとえば、「野菜を切る」という工程の前に、テーブルを出す、包丁とまな板を出す、などなど。
これは大発見でした。
そこで、各パートの最初の工程に入る前の「名もなき準備」を、全員でやることにしました。そして、全員で力を合わせたらそれが何分かかるか調べました。その時間も含めてトータル時間を割り出しました。
次の週、ハーモニークラスの工程表を試すことになりました。この工程表の特徴は、Aさん/Bさん/Cさんという、役割を持った人を3種類に分ける、ということでした。
すると、「時間軸で表した工程表」とは別に、「人ごとに整理した別表」が欲しくなることが分かりました。これは、実践した子から「見て分かりにくい!」という声が上がったことから分かったことです。

こうして子どもたちは、調理の工程表を作り、その通りにやってみて、改善する、という経験を3週間に渡って重ねていきました。
下の動画は、子どもたちが、調理の工程表を作り、その通りにやってみて、改善する、つまり、PDCAを回す経験を3週間に渡って行い、さらに改善するための話し合いをしている様子です。
この日、わたしは熱を出してしまって、zoomで見ていたので、大人のファシリテートなしに、子どもたちで話し合う様子です。
馴れ合いでも喧嘩でもなく、違う意見をすり合わせ、建設的に「より良い方法」を模索するということは、誰でもできることではないと思います。
この話し合いによって、子どもたちは、
・各自が自分の分をそれぞれで調理する
・味噌汁係、卵焼き係などを決め、全員分を担当者が調理する
この二つの方法に絞ることを思いつきました。現在、トータル調理時間31分までになりました。わたしはあと1分なので、これでゴールでいいんじゃないかと思い、子どもたちが大喜びするだろうと思って、時間を発表しました。が、子どもたちは明らかにガッカリしていました。この1分も切ろうと、まだPDCAを回し続けています。その間、味噌汁の具が変わるとハプニングが起きたりして、一筋縄ではいきません。
工程表そのものも発展しています。miroというアプリを教えたところ、週末に自分で工程表をmiroに移してきた子がいました。
エコールミューレが始まって約3ヶ月。
「毎日」のすごさを日々、感じています。
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以下の下りを読んでたら、良すぎて、良すぎてびっくり(笑)
返信削除楽しんで過ごして欲しいです。
※高市総理を呼ぶくだりも、大笑い😂
そうか、わたしは「工程表としてうまくいくか(30分内に効率よく仕上げる)」にばかり成功基準を設けていたけれど、子どもたちにとっては、
「初めて自分たちで計画をし、みんなで協力して最後までやり切った達成感」
だとか、
「人が自分のリクエストを聞いて握ってくれたおにぎり」
だとかに、満足感を得ていたんですね・・・。