エコールミューレでは、自分たちがやりたいことを挙げて、それを「プロジェクト」として企画運営、実行していきます。
そんなに壮大なものではありません。
「昼ごはんにラーメン定食を作りたい」とか「ジュビロ磐田の練習を見に行きたい」とか、「図書館に行ってずっと本を読みたい」とか「誕生日会をやりたい」とか。
どれも実行するまでやらせてあげたいと思っています。
何をやるか固まってきたところで、自分たちが考えたプロジェクトを「プロジェクトシート」にまとめる作業をやりました。プロジェクトシートとは、コンセプト、到達目標、スケジュール、リソース、リサーチなど、企画をする上で必要な情報をまとめたものです。
子どもたちは、勝手に自由に思いつくままに計画をするのは好きですが、「まとめろ」と言った瞬間にテンションが下がります。
それで、なぜ、まとめが必要なのか考えさせてから取り組ませたところ、一気に内容が良くなりました。
みなさんだったら、子どもが俄然、やる気を出すために「なぜプロジェクトシートが必要なのか」という理由を、なんと伝えますか?
子どもたちは、
・失敗しないため
・忘れないため
・みんなが見て分かるように
など、おりこう路線で、いろいろ答えていましたが、わたしは「それも全部その通りだけど、実は、もっと大事なことがあるんだよ」と教えました。
すると、ある子が
「親に納得してお金を出してもらうため」
と言いました。
「大正解!!!
そうだよ、スポンサーを動かすためだよ!」
と教えました。
「みんなは未成年だから、残念ながら、自分だけでできていることはひとつもないんだよ。"自分でやってる”と思ってるかもしれないけど、全部、大人が用意した安全の中だからこそできているわけなので、1日も早く、自分の勝手に、自分の自由に生きるために、今は大人を納得させて、”あぁ、この子なら任せて大丈夫だな”と自由を勝ち取ることが大事」
と伝えました。
それぞれに「◯◯は自分一人でできてる!」とドヤ顔で言っていたけれど、「それだって、大人が◯◯しないと不可能でしょ」とひとつずつ教えると、だんだん真顔になっていきました。
「というわけで、そのつもりでプロジェクトシートを仕上げて」と伝えたら、それはそれは見事なコンセプト(見事というのは、どこかで誰かが言ってるのを見たのをなんとなくまねした、とかじゃなくて、自分たちの等身大の、心からの)を出してきて、プランが俄然、生き生きとし始めました。
わたしが学校で習った「目標」や「めあて」は、「みんなで力を合わせる」とか「一生懸命がんばる」的なボヤッとしたことが多かったように思います。何より「努力すること」が評価されました。「一生懸命やったのだから」と採用されることもありました。
けれど、社会に出て、特に、起業してからは、「全然人を説得できない」という壁にぶち当たりました。やりたいことを”雰囲気”ではなくて、本当に実現するためには、もっともっと現実的に「誰が見ても分かる、読み手のことを理解した説得力のある企画書」が必要だったんです。そして、説得力のひとつとしてもっとも重要だったのは「実績」でした。
だからわたしは、子どもたちに「子どもだからなんか頑張ればそれなりにやらせてもらえる」じゃなくて、ガチで大人を動かす術を教えたいのです。それが社会の「本当のこと」だからです。
子どもとはいえ、「説得できなければ実現しない」となると、俄然、本気を出してきました。
それには、「ラーメンを食べたい」とか「誕生日会をやりたい」など、大人から見たら「それのどこが勉強なの?」というような、子どもの等身大の”やりたいこと”からスタートするのが本当は一番いいんです。
このまま実績と実践を重ねていったら、もっともっとすごいことができるようになるでしょう。でも、最初の一歩は、大人が「これが探求学習だ」と納得するような課題では、子どもは本気を出しません。




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